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401kと国民年金基金と小規模企業共済の違いと共通点について比較してみた


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今回の記事では、主として自営業者の為の退職金・上乗せ年金・節税策として利用されている「国民年金基金、401k(確定拠出年金)、小規模企業共済」の三つについて、それぞれの違いや共通点をザックリ比較形式で紹介していきたいと思います。

あくまで、ザックリ比較なので、それぞれの制度の詳細については下記記事でご確認下さい。
国民年金基金の概要
個人型確定拠出年金(個人型DC-401k)の概要
小規模企業共済の概要

小規模企業共済は上乗せ年金では無いので、同じ土俵に上げるのはおかしいと思われる人もいるかもしれませんが、まぁその辺はご了承下さい。また、基本的に「自営業者が入る場合」という観点から比較していきます。

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加入資格

基金 国民年金を現に払っている20歳~60歳未満の人。国民年金の任意加入者であれば60歳以上65歳未満でも加入可能。
401k 国民年金を現に払っている20歳~60歳未満の人(運用自体は70歳まで可能)
小規模 自営業者で事業所の人数が5人または20人以下であれば加入可能。国民年金の納付の有無は関係無し。また加入年齢の上限は特段定められておらず、事業を継続する限りは掛金を支払う事が可能。

ここは年金系と小規模企業共済で大きく違いが出る所です。基金と401kに関しては国民年金の上乗せという制度趣旨が有りますので、大元の国民年金を払っていないと加入できません。

一方で小規模企業共済は「事業主の退職金」という性質がメインですから、国民年金を払っているとか払っていないとかは関係ありません。注意点は抱えている従業員の数です。

小規模企業共済と「基金・401k」の併用は可能です。それぞれの上限掛金が減るとかも有りません。

掛金の額・単位

基金 月額最大6.8万円(401kとの合計)⇒最低掛金は将来受取りたい年金の額・種類・加入時年齢に応じて変動します。詳細は公式サイトで。
401k 月額最大6.8万円(基金との合計)。付加年金を払っている場合は月額6.7万円まで。最低掛金は5,000円から。
小規模 月額最大7万円。最低掛金は1,000円から。

まず、401kと基金は両者ともに国民年金の上乗せ年金の性質が有りますので、両者の掛金合計で月額6.8万円までです。どちらか一方だけに入って6.8万円まで払っても良いし、両方に加入して合わせて6.8万円でもOK。

なお、基金は付加年金の代行をしているので「付加年金」を払っていると国民年金基金には加入出来ません。国民年金基金HPには以下のように記載されています。

国民年金基金に加入した方は、国民年金の付加年金の保険料を納付することはできません。(国民年金の付加年金の保険料を納付している方は、国民年金基金に加入する際に市区町村の窓口に付加年金の保険料の納付を辞退する旨を届け出るようにしてください。)

(出展:加入条件・資格 | 制度について知る | 国民年金基金連合会

401kの場合は付加年金を払っていても加入出来ますので(掛金額は減るけど)・

管理費用を支払う必要性

基金 無し
401k 有り
小規模 無し

401kは確定拠出年金であることから、自分で資産を運用することになります。その為、資産を運用するに当たって管理期間等への継続的な管理費用の支払いが生じます。詳細は下記記事を御覧ください。

個人型確定拠出年金(401k)の運営管理機関選びのポイント!おすすめはどこ?

一方で国民年金基金と小規模企業共済は確定給付型ですので、運用費用などは全て基金側が管理を行い、それも踏まえて予定利率を算出しています。従って、掛金以外の費用が発生することは有りません。

掛金の所得控除の種類

基金 社会保険料控除
401k 小規模企業共済等掛金控除
小規模 小規模企業共済等掛金控除

どちらの控除も確定申告の際に全額所得控除項目として利用できますが、社会保険料控除は同一生計の親族分も申告者の控除対象に出来る一方で、小規模企業共済控除は掛金納付者本人の所得控除項目としてしか申告出来ません。

例えば、自営業者の専業主婦が401kに入るのは自由なのですが、その場合はせっかく払った掛金の節税メリットを享受できないという問題が発生します。専業主婦は控除できる収入が有りませんからね。

一方で、国民年金基金であれば世帯控除の対象となるので、収入の多い旦那の控除項目として申告可能です。最終的な受取金額も大事ですが掛金納付時の節税も大事だ!という人はそのあたりも念頭において下さい。

前納割引の有無

基金 4月から3月までの1年分の掛金を前納すると0.1ヶ月分の掛金を割引。⇒前納出来るのは1年分だけ。
401k 特に無し(運用は自分で行うため。)
小規模 前納月数1ヶ月当たり1,000分の0.9に相当する額を、前納減額金として支払(還付という意味)。基金とは違い前納出来る期間に特に制限は無いが、確定申告時の掛金控除は1年分しか出来ません。

運用を自分で行うか基金等の管理団体が行うかで前納割引の有無が決まります。

「国民年金基金」「小規模企業共済」は予定利率に基いて加入者全員の掛金をそれぞれの管理団体が運用します。従って、早めに掛金を納付しておけば、前納した掛金にも利回りが付くことになるので、その分割引を受けられます。

一方で、401kは運用を加入者本人が行います。自分が支払った掛金が増えるか減るかは全て自分次第です。従って、前納割引という概念がそもそも有りません。

掛金の減額制限

基金 最初の一口目は減額できませんが、二口目以降をストップしたりするのは自由。
401k 4月~3月の間に1回だけ掛金の増減が可能。(減額制限は特に無し。)
小規模 掛金の増額・減額は期間に縛られる事なく自由に可能。

401kは年間1回までしか掛金を自由に変更出来ないので、利益予測が難しい業種の仕事をされている自営業の方は、掛金額で頭を悩ますかも知れません。

でも、401kも将来的には掛金支払の自由度が高まる予定なので、不便なのは今だけと考えておけば良いでしょう。(参考:⇒確定拠出年金の改正案まとめ

掛金休止・停止の可否

基金 一時中断は可能(中断分は受取額が減額されます)。また、所定の延滞金は付加されますが2年前までの分は後納可能なので、一旦未納にしておいて後から払い込むという手法も取れます。
401k 停止可能(運用指図者へ変更となる。)
小規模 停止可能(12ヶ月以上無断で滞納すると任意解約事由に該当します。)

減額制限と同様に払えないものは払えないので、いずれも掛金停止は可能です。

しかし、「掛金の停止期間は退職所得控除における勤続年数に含まれません」ので、そこは注意しておいて下さい。(国民年金基金は年金支給しか無いので、退職所得控除の枠を気にする必要は有りません。)

もし停止するなら、掛金停止のデメリットもちゃんと考えてから行って下さい。

掛金運用の予定利率・年金の種類

基金 確定給付型で予定利率は1.5%(2016年4月以降加入の場合 – 平成26年度国民年金基金連合会決算書内P31からの責任準備金明細書より)
401k 確定拠出年金の為、予定利率は無し。自分の運用次第で利回りは変わってきます。
小規模 確定給付型で予定利率は1.00%(2016年3月現在)

上の表を見て頂ければ分かるように、唯一401kだけが「確定拠出」ですので、自分の運用次第によって最終受取金額が大きく変わります。掛金を支払っておけば勝手に運用してくれる「基金」「小規模」とは根本が違います。

例え予定利率が1%台だとしても、自分で運用するのは恐いな・・・という人は「基金」「小規模」を選んだ方が良いでしょう。反対に自分で運用すればもっともっとお金を増やせる!という人は401kを選んだ方が良いでしょう。

給付の種類

基金 タイプによって「終身年金」「有期年金(5年・10年・15年)」を選べます。また「終身年金B型」タイプを除いて、加入者本人が死んでも遺族に一時金が支給される「保証期間」が付いています。
401k 原則5年~20年の「有期年金」。但し、運営管理機関次第で一時金としての受取も可能。
小規模 一時金もしくは「10年or15年」の有期年金

自営業者として「退職金」を作るという観点から行くと、一時金を受け取って「退職所得控除」が使える401k及び小規模企業共済の方が使い勝手は良いですね。

一方で、国民年金基金は国民年金と同様に基本的には「終身年金」です。つまり、生きている限りずっと年金を貰える制度です。ですから、国民年金基金の加入資格が有る人はその辺りも考慮した上でどれに入るかを決定した方が良いです。

給付開始年齢

基金 60歳もしくは65歳(給付タイプによって変わります。)
401k 60歳~70歳までの間(加入期間によって制限有り。また、加入者自身の意思で受取を70歳まで遅らせる事が可能。)
小規模 特に決まっておらず、受取事由が生じた時に受け取れる。多くの人は65歳から老齢年金として受取を開始することが多いと思います。

大きく分けると、60歳から受取可能なのが「基金」「401k」の2つ。65歳から受取可能なのが「小規模」です。

60歳を節目に仕事を辞めたいと思っている自営業の人も多いでしょうから、そういう人は国民年金が支給される65歳までの繋ぎ資金としても利用できる「基金もしくは401k」を選択肢に入れても良いと思います。

反対に、60歳でも65歳でもバリバリ現役で働くつもり!という人なら「小規模」でも良いでしょう。

小規模企業共済制度は65歳からじゃないと給付を受けられない訳では有りません。上記では、65歳から受取る人が多いだろうと想定して文章を書いていますが、「共済金の受取事由」によっては60歳の時点で給付を受けられるように調整することも可能です。

共済金Aや共済金Bなど受取事由毎の計算方法や課税関係のまとめ

加入者が死亡した場合の遺族一時金の課税関係

基金 国民年金基金の遺族一時金は相続税も所得税も非課税です。(保証期間が無いタイプの分に関しては遺族一時金は支払われません。)
401k 死亡一時金としてみなし相続財産
小規模 死亡退職金としてみなし相続財産

国民年金基金は401kと比べても「公的年金」の色合いが強いので、遺族一時金も非課税です。但し遺族一時金が支給されるのは、加入者が保証期間内に亡くなった場合だけ。

一方、「401k・小規模」の一時金は「みなし相続財産」として課税対象となります。しかし、「500万円×法定相続人の数」までは通常の相続税の非課税枠とは別枠の非課税枠が用意されていますので、そういう意味では相続税対策に利用することも可能です。

給付金受取時の税制

基金 公的年金等控除
401k 退職所得控除もしくは公的年金等控除
小規模 退職所得控除もしくは公的年金等控除

いずれも受取時の税制優遇が有りますが、先ほども書いたように国民年金基金だけは「一時金」の概念が有りませんので、退職所得控除の枠を使えません。

「退職所得控除」を使える場合の方が、最終的に手元に残る金額は多くなるはずですので、現在「国民年金基金」だけに加入されている人は総額の手取りはどうなるか?を考えて、再考してみた方が良いでしょう。

自営業を辞めて就職した場合の取扱い

基金 加入資格を喪失する事になるので、その時点から掛金納付が出来なくなり支給開始年齢になるまで掛金は留保されます。(加入資格喪失時点で加入期間が15年未満の場合、年金原資は国民年金基金連合会に移管され連合会の方から年金支給手続き等が行われるようになります。)
401k 就職先が企業型DCを採用している場合は企業型DCへ移管可能。あるいは、厚生年金以外の年金制度を持っていない会社に就職する場合は個人型DCをそのまま継続出来ます。(掛金上限額は下がりますが。)
小規模 就職すると個人事業は廃止することになると思いますので、A共済事由に該当します。60歳未満で就職する場合には一時金として受取る事になります。

「基金」と「小規模」に関しては、自営業を辞めて就職すると基本的にそこで終了です。その他の年金制度へ持ち運びは出来ず、加入資格を喪失した時点で一時金として受取るか、給付を受けられる年齢になるまでただ留保されるだけです。

一方401kは上表に書いたように、就職したとしても継続して運用できる可能性が有ります。恐らく401kの改正で更に自由度は高くなると思いますよ。

確定拠出年金の改正案まとめ~全ての人が個人型DCに加入出来るように!

その他本筋にはあまり関係の無い比較

上記までの内容で3者の大まかな比較は出来ていると思います。次からはあまり本筋とは関係がなく、多くの人にとってそこまで影響を及ぼさないであろう内容の比較です。

受給権を獲得する為の掛金の最低納付期間

基金 1ヶ月でOK
401k 1ヶ月でOK
小規模 1ヶ月でOK

国民年金は受給権を獲得するために「25年以上(*1)」掛金を支払う必要が有ります。つまり、掛金納付期間が25年に満たなければ、それまでどれだけ掛金を払っていても、一切の年金を受取る事が出来ない厳しい制度です。

一方で、「基金・401k・小規模」に関しては1ヶ月以上払っていれば、とりあえず受給権は付与されます。(但し、元本割れ等の可能性は有ります。)

*1 国民年金の受給資格期間は、消費税が10%に上がった段階で「25年から10年に短縮」されます。

掛金を担保に借入が出来るか否か

基金 出来ない
401k 出来ない
小規模 借入の種類も色々有るが、大体掛金の9割程度を限度に無担保無保証で借入可能。

純然たる年金制度である「基金」「401k」と、経営者の退職金としての色合いが強い「小規模企業共済」の大きな違いの一つです。

退職金を作りながらも、万が一の際にほぼ無条件で資金を融通してくれる小規模企業共済は非常に心強いですね。

結論・まとめ

個人的には「どれか一つに絞るのではなく入れるなら全部加入した方が良い」と思います。全てに加入すれば、それぞれがそれぞれを補完し合ってより良い「退職金・年金」を作り上げられるからです。

ただ、お金が無いので現時点ではどうしても「どれか一つしか入れない」という人もいるでしょう。そういう場合は「自分の中で何を優先軸とするか」で加入する制度を決めましょう。

  • 借入枠を確保しておきたい⇒小規模企業共済
  • 60歳から給付を受けたい⇒基金 or 401k
  • 自分で運用すればかなり年金を増やせる自信が有る⇒401k
  • 生涯年金(終身年金)を受給したい⇒基金
  • 受取時の税金を少なくしたい⇒小規模 or 401k
  • 自営業を辞めても自分で年金を作りたい⇒401k
上記が優先軸の例でしょうか。何に重きを置くかで「まず何に加入するか?」が決まってくると思います。

何にせよ、3つとも利用しないと損な制度ですので、生命保険で節税とか云々かんぬん言う前に先に利用しましょー。

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