離職して再就職までの間に失業手当が貰える失業保険。当然「貰えるものなら貰っておきたい」と思うのが人間の性でしょう。しかし、失業保険には「待機期間」や「給付制限」がある他、給付される日数が決まっています。
そのため、再就職までに何かスキルを身に付けたくても「生活」を優先せざるをえず、結果、以前の自分と何も変わらないまま、就職活動を行う事になってしまった!という人も多いでしょう。
そもそも、貯金が少ない場合や家族がいる場合には「失業保険貰えるんだ~るんるん♪」なんて言ってられませんしね。
こういった制度上の難点を打破出来るのが「公共職業訓練」です。公共職業訓練を受講する事で「給付制限の解除」や「給付期間の延長」が可能となります。
目次情報
そもそも公共職業訓練とは
公共職業訓練とは、国や地方公共団体が求職者や在職者(離職予定)などに対して、さまざまな職業の「技能」や「知識」を習得するために行う職業訓練を言います。
■主な職業訓練コース
- 金属加工
- 電気設備
- 情報ビジネス
- 介護サービス 等
再就職したい職業に関係のあるコースを選んで、職業訓練を受講する事が出来ます。結構色々なコースが有るので、詳細は「厚労省-公共職業訓練の概要」チェックしてみてください。
公共職業訓練を受けるメリット
公共職業訓練を受講する事で、次の就職先の職業に必要な「技能」や「知識」を習得出来る事以外にも、メリットが有ります。
受講料が無料
公的な支援なので、「無料」で職業訓練を受講する事が出来ます。
ただし、教材代2万円前後(貸与の場合有り)がかかるコースなどもありますので、コースによっては完全無料にはなりません。
失業保険の給付延長
失業保険の給付期間(90日や120日など)は「以前の雇用期間」や「年齢」によって規定されています。
この給付期間が過ぎると、当然失業保険の手当は貰えなくなります。が、公共職業訓練を受講すると、給付期間が延長されて受講期間中は失業保険の支給を受ける事が出来ます。
例えば、給付期間120日の人が30日間失業保険を受給した後に公共職業訓練を180日受けた場合は、最初の30日と訓練中の180日の210日間失業保険を受け取る事が出来ます。つまり、90日間(210日-120日)失業保険の給付期間が延長される事になります。
失業保険の給付制限の解除
離職理由が自己都合の場合には、待期期間である7日間のあとに「3ヶ月の給付制限」が適用されます。
解雇ではなく自己都合退職でも待機期間7日で失業保険を貰える条件
給付制限とは、失業保険の給付が受けられない期間を言います。3ヶ月も支給されなければ、貯金をかなり食い潰す事になってしまいますよね。
しかし、公共職業訓練を受講すると、この給付制限が解除されて訓練開始日から失業手当を受け取れるようになります。
失業保険給付以外にも手当が貰える
公共職業訓練を受ける人は、失業保険給付以外にも「技能習得手当」として、以下の手当が貰えます。
内容 | 金額 |
---|---|
受講手当 | 日額500円(上限額20,000円) |
通所手当 | 最高42,500円 |
寄宿手当 *1 | 月額10,700円 |
*1 家族と別居している場合
支給認定手続きを行わなくて良い
失業した場合には、通常失業認定日(4週に1度)にハローワークに行き、失業保険の給付手続きを行わなければいけません。
しかし、公共職業訓練の受講中は、失業認手続きを訓練施設が行ってくれるので、失業保険の給付手続きを行う手間が省けます。
認定日が月末に変更されるので、支給日のズレには注意しましょう。
公共職業訓練を受ける際の注意点
訓練開始日において失業保険の給付日数の支給残日数が規定以下であれば、給付の延長やその他手当を受け取れない場合が有ります。
給付制限の有無で少し支給残日数の規定が異なります。
所定給付日数 | 給付制限が無い場合 | 給付制限がある場合 |
---|---|---|
90日間 | 1日 | 31日 |
120日間 | 1日 | 41日 |
150日間 | 31日 | 51日 |
180日間 | 61日 | 61日 |
210日間 | 71日 | 71日 |
240日間 | 91日 | 91日 |
270日間 | 121日 | 121日 |
300日間 | 151日 | 151日 |
330日間 | 181日 | 181日 |
解雇や倒産のような会社の都合による離職の場合は「給付制限無し」、自分の都合による離職の場合は「給付制限有り」になります。
所定給付日数が90日の場合には、給付制限が無い人は訓練開始日において支給残日数が1日以上、給付制限が有る人は31日以上無いと、給付延長等のメリットを受ける事が出来ません。
このような規定があるのは、なるべく早く再就職を促す事が目的だからです。また、ギリギリまで失業手当を貰ってから、給付延長する事を防ぐ狙いも有ります(こちらの方が主目的かもしれませんね)。
その他、コースには定員が有るので、人気のコースでは選考に漏れて受講出来ない場合が有ります。また、訓練開始時期もコースによって決まっているので、受講申し込みのタイミングによっては受講したいコースが無い事も有ります。
申し込み方法
申し込みは、住所地を管轄するハローワーク職業訓練窓口にて行います。
必要な書類は、職業訓練パンフレットに付いている申込書と失業保険受給者資格証です(あと、証明写真も忘れずに)。
なお、申し込みだけで訓練を受講出来るわけでは有りません。訓練コースにもよりますが、面接や学力試験、適正試験などを受けなければいけない場合が有ります。