401k(確定拠出年金)において、「今は取り敢えずリスク資産ではなく安全資産に投資しておきたいなー」と思う時が有ると思います。
例えば、企業型DCから個人型DCに移管する時に結構な額のDC残高が有るけれど、株式市場が割高な感じがして暫くは様子を見たい時とか。一旦、利益を確定して次の投資商品を検討している時とか。
そんな時は、401kの商品プランの中にある元本確保型商品の「定期預金」とか「傷害保険」とかに突っ込んだほうが良いのでしょうか?物凄い細かい話ですが、それだったらMMFに投資した方が使い勝手は良いと思います。
目次情報
MMFの特徴
MMFはマネー・マネジメント・ファンド(money Management Fund)の略称で、換金性が非常に高い短期の債券であったり、金融機関同士のお金の貸し借りに使われているコールローンなど、安全性の高い資産を運用商品とする投資信託の一種です。
MMFには以下の様な特徴があります。
- 満期が無い
- 利息が1日毎に計算され、月末にまとめて元本に加えられていく(自動で複利になる)
- 短期の定期預金よりも少しだけ利率が高い事が多い
- 投資信託の一種なので利率は変動する
- 保有期間が30日を超えると解約手数料がかからない
しかし、401kにおいては定期預金や保険商品よりも使い勝手が良いとされています。その理由を定期預金・保険と比較しながら見て行きたいと思います。
定期預金との比較
定期預金は中途で解約しても、絶対に元本割れを起こさない商品ですので安全性は非常に高いです。(中途解約により適用利率が悪くなる場合が有るので、利息は少なくなる可能性は有る。)
従って、401k残高の待機資金の置き場所として一番無難で有ることに間違いは有りません。解約の依頼を出してから、概ね4営業日くらいで処理が完了されるので、流動性も高いです。ただ、不便な所も2つほど有ります。
ペイオフの対象か否か
401kのメリット・デメリットの記事でも書いていますが、401k内の定期預金残高もペイオフの対象です。従って、万が一にも運用管理期間が破綻してしまうと「1,000万円を超える部分の預金」は保護されない可能性が有ります。残高が多い人は401kの管理機関と自分のメインバンクは切り分けておいた方が良いでしょう。
同じ銀行に預金している場合、DC口座の定期預金よりも通常口座の預金の方が優先して保護されます。
満期が有るか無いか
401kにおいて定期預金を購入する場合、毎月の掛金でそれぞれ別の定期預金を購入していく事になります。つまり、10年満期の定期預金を毎月購入すると1年で12本の定期預金を保有する事になります。
よって、殆どの場合定期預金を解約するときには中途解約という事になり、優遇金利を受けられません。MMFなら満期が無いのでいつでも解約自由ですし、利息も毎日計算されるので定期預金のように優遇金利が受けられないという事も有りません。
また、401k内のMMFなら30日以内に解約しても解約手数料を取られないようなので、そういう意味でも使い勝手が良いです。
保険商品との比較
保険会社の401kプランを見ていると、元本確保型の商品として傷害保険などの保険しか用意していない所も有りますが、それだったら定期預金が有る所を選んだ方が無難ですね。というわけで、保険に関しても定期預金と同じように見ていきます。
中途解約すると元本割れする事もある
保険商品は解約する際に「解約控除」という手数料を取られます。この解約控除が今まで獲得してきた利息よりも大きいと元本割れを起こしてしまいます。
商品によっては利息以上の解約控除がかからない保険商品も有りますので、個別の確認が必要です。
また、401kの保険商品は60歳以上になった人が現金を受取るために解約する場合には、解約控除がかからない事もあるそうです。
金融機関が破綻した場合の取扱い
保険商品には「生命保険商品」と「損害保険商品」の2種類が有りますが、預け入れていた金融機関が破綻したの補償はいずれも保険金額等の90%と定められています。従って、こちらも定期預金の場合と同様にMMFの方が若干有利なのかなと思います。
まとめ
というわけで、定期預金・保険商品と比較してMMFの401k内における優位性(待機資金としての。)を見てきましたが、正直言うとそこまで神経質になるほどの問題では無いと思います。
それに、日本円MMFを商品プランの中に含めている401kの運営管理機関はそれほど多く有りません。従って、管理機関の選定に当たっては取り敢えず「定期預金」「MMF」のいずれかが有ればOKなのかなと思います。
本文中でも書いたように、保険商品は解約した時に元本割れする可能性が有るので、元本確保型の商品が保険商品だけの管理機関は選ばない方が無難かなと思います。