幼稚園から大学卒業までに必要な子供の教育費用は、子供の教育費のまとめの記事でも書いていますが、およそ1,000万円(全て国公立)~2,400万円(全て私立)も掛かります。
子供の為なら、「何としてでも用意してあげたい」と思うのが親心でしょう。しかし、子供が生まれて大学入学までの18年の間に、何が起こるかは誰もわかりません。景気の悪化、勤務している会社の経営不振など、思うように貯蓄出来ない事態が起こるかもしれません。
このような、将来の不確定要素に対して備える方法として、保険が挙げられます。そこで、子供の将来の教育費用の資金を用意する「学資保険」について、紹介していきたいと思います。
一応、書いておきますが、僕は学資保険は別にいらないと思ってる派です。
目次情報
学資保険とは-3つの特徴
学資保険は、子供の教育資金を確保する事が目的の保険です。契約する保険プランにもよりますが、基本的な特徴は下記の3つです。
- ①学資金を受け取る時期を選択出来る
- ②支払保険料よりも多くの学資金を受け取る事が出来る
- ③親・子に万が一の事があった場合に保障を受ける事が出来る
学資保険の契約プランによっては、②と③の特徴を同時に満たさない場合が有ります。多くの学資金を望めば保障は薄くなり、保障を手厚くすれば学資金の額は下がります(元本割れする場合も有る)。これも学資保険の特徴の一つと言えます。
学資金を受け取る時期を選択出来る
契約したプランで定められた期日に、「進学学資金」や「満期学資金」として、まとまったお金を受け取る事が出来ます。進学学資金とは、満期日以外の中学・高校への進学時に、受け取れる保険給付金です(祝金なんて言い方もしますね)。
■学資金受け取り例
- 進学ごと(12歳、15歳、18歳)
- 大学入学前(17歳)
- 大学入学(18歳)と卒業(22歳) 等
大学入学時だけでなく、中学校・高校でも入学時にはまとまったお金が必要になります。いつ学資金を受け取るのかは、家庭の教育計画や2人目・3人目の子供との兼ね合いなどに合わせて、プラン選択をすれば良いでしょう。
なお、進学学資金の受け取りを据え置く事も可能です。また、据え置いた学資金にも利息が付き、受取期日到来以後はいつでも受け取る事が出来ます。
学資保険は、子供の進学に必要なまとまった資金を、前もって準備する事が出来る保険と言えます。
支払保険料よりも多くの学資金を受け取る事が出来る
学資保険は、「貯蓄」という性格を有する保険です。
一括や年払い、月払いで支払った保険料よりも、満期日に受け取れる学資金が多くなる契約プランが有ります。各保険会社の学資保険の契約プランには、「返戻率」という数字が記載されています。この返戻率が100%を超えているプランが、この特徴に当てはまる事になります。
返戻率とは、支払う保険料総額に対する受け取る学資金総額の割合(%)を言います。返戻率が高いほど、利回りの良い学資保険となります。
計算式は、「学資金総額÷支払い保険料総額×100=返戻率」となります。
ちなみに、支払う保険料が最も少なくなる支払い方法は、「一括払い」です。その次が「年払い」、そして最も支払う保険料が多くなるのが「月払い」となります。保険料をまとめて払い、支払い保険料総額を少なくすれば、返戻率は高くなります。
なるべく返戻率の高い学資保険を契約する事で、将来多くの学資金を受け取る事が出来ます。子供の将来に備えて投資をする事が出来るのが、学資保険の一つの特徴となります。
親・子に万が一の事があった場合に保障を受ける事が出来る
学資保険は、将来の子供の学資資金を確保する事が目的ですが、親(契約者)に万が一の事(死亡・後遺障害など)が有ったり、子が病気・怪我をしたりした場合に保障する「保険」としての性格も有ります。
親(契約者)に万が一の事が起こった場合には、基本的に以後の保険料の支払いは免除され、学資金は満額受け取る事が出来ます。この保障内容は、ほとんどの学資保険に付帯される内容です。
また、保障内容が手厚い契約プランでは、満期日までの育英年金や死亡保険金を受け取れたり、子供の医療保険金を受け取れるプランも有ります。
学資保険は資金の確保が主目的ですが、このように万が一に備える事も出来るのも特徴の一つとなります。
学資保険のメリット
学資保険には、主に4つのメリットが有ります。
- 親に万が一の事があっても、保険料の払い込みが免除になり、満額の学資保険金が受け取れる
- 返戻率の高い貯蓄型の学資保険が有る
- 強制的に貯蓄出来る
- 税制面で有利
強制的に貯蓄出来る
学資保険は、外部の保険会社に保険料を支払う事で貯蓄していくので、強制的に貯金が出来ます。
自分の個人口座で貯蓄する場合には、自由にお金を引き出す事が出来てしまいますので、本当は子供のために使うお金を、生活費やその他の費用に回してしまうリスクが有ります。また、貯金が苦手な人は、子供が成長する十数年間も貯金を継続する事は無理でしょう。
学資保険は、外部にお金を預ける事で、確実に子供の将来に備えて貯蓄をする事が出来ます。
税制面で有利
学資保険は、生命保険と同様に、所得控除の対象になります。そのため、年間の支払い保険料に応じて「所得税・住民税」を軽減する事が出来ます。
学資保険で、所得控除を受ける際の詳細条件は、また別途記事にします。
また、学資保険金の受取の際にも、学資金総額と支払保険料の差が50万円以内なら、所得税はかかりません(学資保険金は一時所得)。
学資保険のデメリット
学資保険には、主に3つのデメリットが有ります。
- 元本割れするリスクが有る
- 資金の拘束期間が長い
- 金利の上昇に不利
元本割れするリスクが有る
学資保険には、支払う保険料よりも受け取る学資金が少なくなってしまう「元本割れのリスク」が有ります。
元本割れリスクのある学資保険は、保障の手厚い契約プランです。「手厚い」とは、医療保障や災害特約など、様々なオプションが付いたプランの事を言います。
このような契約プランは、必然的に支払う保険料が多くなります。その結果、将来受け取る学資金よりも、支払い保険料が多くなり、元本割れを起こしてしまうのです。
元本割れを起こす学資保険を契約しないためにも、返戻率が「100%以上」となっているか計算をしっかり行って契約するようにしましょう。
まぁ、手厚い保障が希望なのであれば、それはそれで良いんでしょうが、そもそも学資保険は、子供の教育資金を確保するための保険です。
本来の目的とは違う保障を学資保険で求めるよりは、その目的に沿った保険を利用したほうが、結果的にお得になる事のほうが多いです。
資金の拘束期間が長い
学資保険の満期が到来するのは、子供が17歳や18歳になる時です。0歳から契約すれば、資金の拘束期間は17、18年にもなります。
その間、学資保険に投じる資金を動かす事は出来ません。契約途中で解約すれば、資金は動かせますが、元本割れを起こす事になります。
長期間の契約の間に、まとまったお金が必要になる場合も有るので、契約する際は余裕のある契約プランを選びましょう。また、進学学資金を貰えるプランを選ぶと少しラクになるかもしれませんね(ただし、返戻率は下がります)。
金利の上昇に不利
学資保険は、契約時に「支払う保険料」に対して「受け取れる学資金」が決まります。契約期間中に、景気がどう変化しようと、金利は固定されたままです。
契約期間中に、インフレになり市場金利が上昇すると、損をしてしまう可能性も有ります。学資保険で運用するより、普通に貯金してた方が良かったよねって事になるわけです。資金が長期的に拘束されるデメリットはここにも波及します。
ただし、市場の金利が下降すれば、有利になりますけどね・・・。
学資保険についての個人的な雑感
子供の将来の教育費用に備える学資保険について、つらつらと書いてきました。
契約者である親に万が一の事が有っても、支払い保険料が免除されて、満額学資金が保証されるので、学資保険で貯蓄するという手段も有りだとは思います。
しかし、年金さえしっかり払ってれば、子育て世帯には遺族年金が支給されますので、その辺りも踏まえて加入の検討をする必要が有ります。生命保険に別途入っているなら尚更です。また、片親が亡くなったとしても、もう一方の親が働けばお金は工面できます。
保険の意味を考えよう
保険はそもそも、万が一の時の為にかけるものであって、保険金で楽な生活をするための物では有りません。更に言えば、金策が出来るなら、そもそも保険なんて入らなくても大丈夫です。
保険のかけ過ぎで、今の生活が苦しくなれば本末転倒です。本当に、その保険が必要なのか?考えてから加入しましょう。子供の教育資金は、学資保険だけでなくNISAを活用したりして、捻出することも可能です。
【子供が出来たら学資保険だ!】っみたいな、思い込みだけで加入するのは止めましょう。