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電力自由化

電力自由化とは?その概要とメリット・デメリットをまとめてみた


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電力自由化

2016年4月から「電力自由化」が、電気事業法の改正によって「家庭」や「商店」でも行われる予定です。一般家庭でも電気の契約先を自由に決める事が出来る時代となるわけですね。これで、2000年に始まった電力自由化(大規模工場や百貨店などを対象)が、全面的に行われる事になります。

一般家庭の契約件数は約8,000万件もあり、この市場を狙って新規参入する電力事業者も増える事でしょう。契約者にとって、契約先の選択肢が「1つ」しか無かった状況から、選択肢が「複数」になる事は望ましいと言えますね。

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経済産業省の電力自由化に対する国民のアンケート調査(PDF)によると、約54%の人が契約先変更を検討しているようです。

契約先変更に消極的とした人の理由は、「電力自由化の具体的な内容がわからない」「イメージが沸かない」といった事のようです。新たな制度なので、全体をしっかりと把握出来ていない人も多いかと思います。

電力の自由化まで「あと1年」も有りません。そこで、「電力自由化」について色々調べてみましたので、ここはひとつよろしくお願い致します。

電力自由化の概要

電力自由化とは、電力会社の地域独占を解消する事を言います。そして、電力自由化の目的は、電力市場に販売競争を起こし、電力事業者に「発電コストの削減」や「より良いサービスの提供」などを行わせる事です。

今までは、地域ごとにある10社の電力会社(東京電力や関西電力など)が独占して発電・小売を担ってきました。しかし、法改正によって「発電・小売」が自由化され、誰が発電してもよく、誰から電気を買っても良いように変わります。

さらに、2018年~2020年を目途に「電力料金規制の撤廃」「発送電分離」を実施する予定です。

電力料金規制をすぐに撤廃しない理由

電力料金規制とは、主に「電気料金の設定に対する規制」「電気料金の計算方式の規制」を指します。

電力料金規制をすぐに撤廃しない理由は、電力自由化によって新規参入した電力事業者が、既存の電力会社と競争出来る体力・体制を整える期間を設けるためです。

■電気料金の設定に対する規制について
この規制は「電力会社が電気料金を設定・変更する際に政府の承認を必要とする規制」の事を指します。この規制の趣旨は、消費者保護です。各地域の電力会社が市場を独占している状況では、消費者は電力会社の料金設定に従う以外に選択肢は有りません。

独占状態で電力会社に暴走されると、消費者はたまったものじゃ有りませんよね。そこで、電気料金の設定を自由にさせないように政府が規制しているわけです。

自由化されるなら、すぐ撤廃すればいいのでは?と思うかもしれませんが、そうもいかないようです。というのも、先程も書いたように、競争相手となる「新電力事業者」や「他地域の電力会社」の準備が整っていないからです。

電力の自由化は「電力市場に競争を起こす事が目的」です。しかし、今現在規制を撤廃してしまうと、競争させる前に新規参入業者が破綻してしまう可能性が有るので、一定の猶予期間を設けています。

■電気料金の計算方式の規制について
次に、電気料金の計算方式の規制についてです。電気料金の計算方式は「総括原価方式」を採用しています。この規制を撤廃しない理由も「電気料金に対する規制」と同様に、新電力事業者の準備期間を設けるためです。

電力自由化が行われても、既存の電力会社はこの「総括原価方式」を維持して電気料金を計算設定していく事になります(新電力事業者は自由に設定出来ます)。

総括原価方式とは

総括原価方式とは、発電に掛かる全てのコスト(燃料調達費用はもちろん発電所・送電施設の建設費や維持費など)に一定の利益を上乗せして電気料金を設定する計算方式です。

電力事業は公共性が高く、またインフラ整備に膨大な費用を必要とするので、このような赤字の出にくい計算方式で電気料金を計算しています。

総括原価方式を採用しているにも関わらず、近年電力会社が赤字続きとなっているのは、計算に用いたコストよりも、実際に掛かったコストの方が想定外に大きかったからです。原発の停止による燃料調達費の増加が原因ですね。

発送電分離を実施する理由は公平な競争を確保するため

発送電分離とは、現状電力会社が一手に担っている「発電」と「送電」の事業を分離して、それぞれを独立した会社にする事を言います。

なお、発送電分離が実現されるまでの間は、新電力事業者は送電に関して「電力会社の既存の送電設備」を借りる事になります。(当然使用料を払う必要があります。)

しかし、この状況っておかしいですよね。だって、送電事業を電力会社が握っている限り、使用料などが「既存の電力会社」のさじ加減1つで決まってしまうのですから。

その為、発送電分離が必要になってくるわけです。電力の自由化を進めて全ての事業者が公平な環境で競争するためには、送電事業を完全に電力会社から分離しなければなりません。

電力自由化と合わせて「発送電分離」を行わない理由は、電力会社に送電事業を分離する準備期間を与える必要があるからです。

電力自由化のメリット

電力自由化は消費者にとってどのようなメリットがあるのでしょうか?

電気代が安くなる!?

電気代

電力自由化で市場に競争が起こり、各電力会社が顧客獲得の為に低価格の電気料金を設定する事が期待・予想されています(あくまで理論的な話です)。

電気料金規制が撤廃されれば、各社自由に電気料金を設定出来るようになります。つまり、電気料金を安くも出来るし高くも出来るわけです。

今までのように政府の承認を取る必要が無くなるので、燃料が高騰すれば電気代もすぐ高くなると思います。なので、必ずしも安くなるとは言えません。

■諸外国では電力の自由化後に電気代が高くなっている
では、日本に先んじて電力自由化を行った諸外国の電力料金はどうなったのか?結果を見れば一目瞭然ですが、自由化の後で電気料金が高くなっている国がほとんどです。

例えば、イギリスの自由化前後の電気料金は以下のような感じで推移しています。

イギリスの電気料金の推移

出典:「一般財団法人 日本エネルギー経済研究所(PDF-P.57)

必ずしも、自由化の影響だけで電気代が高くなったとは言えませんが、同じ轍を踏まないように、しっかりとした制度を組み立てていく必要が有ります。

選択肢が増えるというメリットも

その他のメリットとしては、「既存の電力会社の独占状態が解消するので消費者の選択肢が増える」という点が挙げられるでしょうか。また、これらの電力事業者が提供する「料金プラン」も豊富になるでしょう。

さらに、料金プランだけでなく、その他のサービスとセットにして電気を販売する電力会社も出てくるでしょう。例えば、東京電力は電気料金でポンタポイントが貯まるシステムを導入する予定です。

また、今後は電力関係がメインの会社だけでなく、「インターネットや不動産・自動車」といった電力関係が主力事業では無かった事業者も参入してくる事が予想され、今までに無い新たなサービスが展開されていくかと思います。

電力自由化のデメリット

電力自由化のデメリットはどういったものがあるでしょうか。

一番のデメリットはこれでしょう。

多数の料金プラン・サービスから選択する煩雑さ

新電力事業者は、顧客獲得の為に様々な「料金プラン」や「サービス」を提供する事が予想されます。その中には、今までの単純な従量制の料金プランとは違い、複雑な料金プランも多数含まれるかもしれません。

どこと契約するのか?どんなプランで契約するのか?どのようなサービスがあるのか?

消費者は、電力会社に電気を買わされていた立場から、電力自由化によって電力会社を選ぶ立場に変わります。これはメリットであると同時にデメリットでも有ります。選択肢が無いのは不便ですが、選択肢が無いと「楽」ですからねー。何も考えなくて良いから。

しかし今後は、自分のライフスタイルに合う電力会社はどこなのか?などなど、色々な事を吟味しながら、自分で最適なプランを見つけなければなりません。多分想像以上に煩雑です。

なので、新規参入業者と既存の電力会社の電気代にそこまでの差が発生しないのであれば、電力自由化の幕が上がったとしても、ほとんどの人が契約を変更しないなんて事もあり得るかもしれませんね。(いや無いか。)

電気会社の契約を切り替える前にチェックしておきたい事まとめ【電力自由化】

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